
先住猫との相性を良くするためのステップガイド
新しい猫を迎え入れたとき、最も気をつけたいのは先住猫との関係性です。いきなり一緒にするのではなく、段階を踏んだ導入をすることで、お互いにストレスを少なく、関係を築きやすくなります。ここでは、成功確率を上げる具体的なステップと注意点をわかりやすく紹介します。
1. 準備段階:環境と匂いのすり替え
まず、新猫と先住猫それぞれの「安心できる空間」を別々に用意します。新猫用にはトイレ、食器、寝床、爪とぎ、隠れ家などをすべて備えた部屋を一つ確保しましょう。その部屋に閉じこもらせて、まずは新猫自身が落ち着くようにします。
次に「匂いのすり替え作業」を行います。バスタオルなどで新猫と先住猫の体を軽く撫で、それを互いの寝床やタオルと交換することで、相手の匂いを認識させます。こうすることで「見えない相手」にまず慣れさせることが目的です。
匂い交換に慣れたら、その匂いが安心をもたらすよう、食事やおやつの時間を通じてポジティブな体験とつなげます。つまり「相手の匂い=いいことが起こる」と認識させます。
2. 視覚的導入:バリア越しの接触
匂いの慣れが進んだら、ドア越しやネット、ベビーゲート越しなど、物理的な境界がある状態でお互いを視認できるようにします。この段階では、シャーや威嚇はあっても構いませんが、長時間の緊張状態は避け、短時間に切り上げましょう。もし双方のストレスが強いようなら、この段階で引き返してやり直すことが推奨されます。
この過程では、お互いが見える範囲に食事を置くと効果的です。ただし、誤解を招かないよう注意が必要で、一緒に食べさせすぎると緊張状態を招く可能性もあります。
3. 初顔合わせ:監視下での直接対面
視覚接触が落ち着いてきたら、いよいよ直接対面です。ただし、初めは数分程度、必ず飼い主が監視できる時間に限定します。攻撃的な行動が出たら距離を戻しましょう。
このとき、おもちゃや遊びで注意をそらす手法が有効です。共通の遊び体験で相互作用を促すことで、敵意よりも「一緒に楽しむ」という印象を広げることができます。
また、対面時に動き回るような空間を与え、逃げられる場所を確保してあげることも大切です。猫には「逃げられる道」があることで安心感が生まれ、対面のストレスを軽減できます。
4. 接触時間と自由度の拡張
最初の対面セッションがうまくいけば、接触時間を徐々に延ばしていきます。10分 → 20分 → 30分 … と段階的に進め、互いの様子を観察しながら進めることがポイントです。
完全な自由同居は、この段階でしか許可しないようにします。それまでに「資源が十分である環境」を作っておくことが必須です。食器・トイレ・爪とぎなどは別々に設置し、競合を避けるようにします。Medivetも「猫数+1 個」のリソースを持つことをアドバイスしています。
自由にできる時間を増やすときも、争う兆候があれば後戻りして導入プロセスを調整するのが望ましいです。
5. 長期的な安定を築く工夫
導入が成功しても、安心しきるわけではありません。定期的に以下のような配慮を続けることで、関係性を保ちやすくなります:
* リソースの配置を見直す(猫同士で近すぎず離れすぎず)
* 共同遊び時間を設け、肯定的な相互作用を刺激する
* 環境に変化を与えて刺激を与え続ける(おもちゃのローテーションなど)
* 病気やストレスサインに注意を払い、早期対処する
* 個々に「自分だけの居場所」を持たせる
“長期的に安定した関係”とは、完全な友情ではなく、お互いの存在を受け入れ、適度に距離を取りながら共存できる状態とも言えます。
Cat Care Societyでは、そのような共存関係を築くには「現実的な期待を持つこと」が大切と紹介されています。
新猫が加わるとき、最も大切なのは「焦らないこと」と「猫のペースを尊重すること」です。最初の印象や導入スピードが、その後の関係に大きく影響します。ステップを丁寧に進めることで、先住猫との摩擦を抑えながら、信頼と安心の土台を築いていきましょう。