
猫がかかりやすい代表的な病気
腎不全(じんふぜん)
猫の死因の上位にある腎不全は、特に高齢の猫によく見られる病気です。腎臓の機能が低下し、老廃物をうまく排出できなくなることで、食欲不振、体重減少、頻尿・多飲などの症状が現れます。
初期段階では明確な症状が出にくいため、定期的な血液検査で早期発見を心がけることが重要です。
尿路結石(にょうろけっせき)・膀胱炎
トイレに頻繁に行くのにおしっこが出ない、血尿が出る、排尿時に鳴くなどの症状が見られる場合は、尿路系のトラブルが疑われます。特にオス猫は尿道が細いため、結石や詰まりによる急性の尿閉(にょうへい)に注意が必要です。
早期に治療を始めれば改善する可能性が高いため、異変を感じたらすぐに動物病院を受診しましょう。
口内炎・歯周病
猫も歯のトラブルが多く、特に歯周病は3歳以上の猫の約8割が抱えているといわれています。よだれが多くなる、口臭が強くなる、固いフードを食べなくなるといった症状は要注意です。
進行すると歯が抜けたり、内臓に悪影響を及ぼすこともあるため、日頃からの口腔ケアが大切です。
猫風邪(上部気道感染症)
猫同士の接触や飛沫感染で広がる猫風邪は、くしゃみ・鼻水・涙目・発熱など風邪に似た症状を引き起こします。子猫や高齢猫は重症化しやすいため、ワクチン接種による予防が効果的です。
また、免疫力が低下していると症状が長引きやすいので、栄養と生活環境の見直しも必要になります。
肥満による生活習慣病
運動不足や高カロリーな食事が原因で、猫も肥満になります。肥満は糖尿病、関節炎、心臓病などの生活習慣病を引き起こすリスクが高くなるため、体重管理は飼い主の大切な役割です。
適切な食事と運動のバランスを取ることで、健康な体を維持できます。
病気を防ぐためにできる日常のケア
バランスの取れた食事を与える
栄養が偏った食事は、免疫力の低下や内臓への負担を招きます。愛猫の年齢や体質、健康状態に合ったキャットフードを選びましょう。
また、フードの切り替えは急に行うと胃腸に負担がかかるため、数日〜1週間ほどかけて徐々に新しいフードに慣れさせていくのがポイントです。
新鮮な水をたっぷり用意する
水分をしっかり摂ることは、尿路疾患や腎臓病の予防に直結します。特にドライフード中心の猫は水分摂取量が少なくなりがちなので、こまめに水を替えたり、流水式の給水器を活用すると飲水量が増えることがあります。
室内環境を清潔に保つ
猫のトイレや食器、おもちゃなどは、こまめに洗って清潔に保つことが感染症の予防につながります。猫はきれい好きな動物なので、トイレが汚れていると排泄を我慢することもあり、それが膀胱炎の原因になることもあります。
ストレスを減らす工夫をする
猫は環境の変化に敏感な動物です。来客や引っ越し、大きな音などにストレスを感じやすく、ストレスが原因で食欲不振や病気を発症することもあります。
落ち着いて過ごせる場所を用意したり、猫のペースで接するように心がけましょう。
定期的な健康チェックを欠かさない
病気の早期発見には、年に1回以上の健康診断が効果的です。特に高齢になると内臓の病気が進行しやすくなるため、血液検査・尿検査・超音波検査などを組み合わせた定期検診を行いましょう。
また、ワクチンやノミ・ダニ対策も忘れずに行うことで、多くの病気を防げます。
異変に気づくための観察ポイント
トイレの回数や量に変化がないか
尿の回数が多すぎる、逆に全く出ていない、血尿が混ざるなどの変化が見られる場合は、泌尿器系の病気を疑いましょう。便秘や下痢などの排便トラブルにも注意が必要です。
食欲と体重の変化
食欲が極端に落ちたり、急に体重が減ったり増えたりする場合は、病気のサインであることがあります。定期的に体重を量って記録することが、異変の早期発見につながります。
行動の変化や元気の有無
普段は元気に動き回っていたのに、急に寝てばかりいるようになったり、呼んでも反応しないといった変化は要注意です。痛みや不調を感じている可能性があるため、様子を見て放置せずに、動物病院で相談しましょう。
毛並み・目・耳のチェックも忘れずに
毛づやが悪くなった、目ヤニが増えた、耳垢が多くなったなども体調不良のサインです。ブラッシングの際などに全身を軽くチェックする習慣をつけましょう。
まとめ:日常のケアで猫の健康を守ろう
猫は言葉で不調を訴えることができない分、飼い主が日々の変化に気づいてあげることが大切です。腎不全、尿路結石、歯周病、猫風邪、肥満など、猫がかかりやすい病気について理解を深めておくことで、早期発見・早期治療が可能になります。
また、食事、水分、清潔な環境、ストレス管理など、日常でできる予防法を丁寧に続けることで、多くの病気を防ぐことができます。大切な愛猫と長く健康に過ごすために、今日からできることを少しずつ取り入れてみてください。