年齢によって変わる猫の食事選びのポイント

猫は成長とともに体の機能や代謝率が変化するため、年齢に合ったキャットフードを選ぶことが健康維持の基本です。コーネル大学の獣医学部でも、栄養要求が「子猫期、成猫期、妊娠・授乳期」で異なることが示されています。一方で、多くのペットフードブランドも「ライフステージ(年齢基準)」別の配合を推奨しており、猫の成長段階に応じたフード選びが一般的です。
以下では、子猫期、成猫期、シニア期に分けて、それぞれのおすすめのフードタイプと注意点を解説します。

子猫期(生後~12 ヶ月程度):成長を助ける高栄養設計

この時期、猫は体も臓器も急速に成長するため、高たんぱく・高エネルギー・バランスの良いミネラル・ビタミンが不可欠です。具体的には以下の要素を重視しましょう:

* 動物性たんぱく質(鶏肉・魚など)が原材料の上位にある
* DHA・EPAなどオメガ-3脂肪酸を含み、脳・視覚発達をサポート
* カルシウム・リンのバランスが成長期に最適に調整されている
* カロリー密度が高めで、少量で必要な栄養を補える設計

給餌頻度は、生後すぐは3~4回/日、その後4~6か月あたりから2回/日に徐々に移行するのが一般的です。ただし、それぞれの猫の体重や活動量に合わせて微調整が必要です。

注意点
子猫用フードを長く使い続けると、過剰なカロリー摂取を招くことがあります。一般的には10~12か月頃を目安に、成猫用フードへ切り替えていくよう推奨されています。 また、急な切り替えは消化不良を招くことがあるため、7~10日かけて徐々に混ぜながら移行するのが安全です。

成猫期(1~7歳程度):体重維持と健康バランス重視

成猫になると成長期ほどの栄養要求は落ち着きますが、代謝や運動量のバランスを保ちながら、過度な体重増加を防ぐことが重要です。

理想のフード特性:

* 高たんぱく質・適度脂肪:筋肉維持を助け、エネルギー源となる
* 適切な炭水化物量:過剰な炭水化物は脂肪蓄積の原因にも
* ミネラルバランス調整:尿路結石リスクを抑える設計
* 抗酸化成分(ビタミンE・C、タウリンなど):免疫や細胞保護を支援

給餌回数は2回/日が一般的で、規則正しい時間に与えることで消化リズムを安定させるのが望ましいです。
注意点
この時期は肥満になるリスクが高いため、与える量はフードパッケージの目安だけではなく、体重や体型の変化を目視・触診でチェックしながら調整を。 また、フードの原材料や添加物にも注意し、「完全栄養食(complete & balanced)」かどうかの表示を確認しましょう。

シニア期(7歳以降):代謝変化と健康サポートを意識した設計

7歳を超えると、消化機能の低下、腎臓や歯のトラブル、筋量減少などが起こりやすくなります。こうした変化に対応した専用フードを選ぶことが、老後の健康を支えるカギです。
望ましい特徴:

* 高い消化吸収性(易消化たんぱく質)
* 適度なカロリー:過剰は肥満に、低すぎると栄養不足に
* 関節サポート成分(グルコサミン・コンドロイチンなど)
* 水分補給を促す設計(ウェットフード併用や水分含有率高め)
* 低リン・低ナトリウム:腎臓への負担を考慮

中には「シニア用」表示だけでなく、「高齢猫用」や「腎臓サポート」などの特別設計がされているフードもあります。([ロイヤルカナンアカデミー][10]) また、噛む力の衰えを考慮して、柔らかめや粒の小さい設計ものを選ぶと食べやすくなります。
注意点
一律に“減たんぱく”ではなく、筋肉量維持も考慮してたんぱく質量を極端に落とさないようにしましょう。そして、シニア猫の食欲低下には注意が必要で、少量ずつ回数を増やしたり、フードを温めて香りを引き出す工夫も有効です。

年齢別フード選びの共通チェックポイント

* 原材料表:最初に動物性たんぱく質(例:チキン、魚など)が記載されているか
* 栄養表示:AAFCO(または同等の基準)で「〜用 完全・バランス栄養食(complete & balanced)」の表示があるか
* 栄養密度:年齢に応じてエネルギー量・たんぱく質量・脂肪のバランスが適切か
* 変化は徐々に:新しいフードに切り替える際は1~2週間かけて混ぜながら慣らす
* フードの賞味期限・保存状態:酸化や湿気に注意

キャットフードを選ぶときは、パッケージの表示を読み解く力も重要になります。なお、植物性のみのフードは完全な栄養バランスを満たすのが難しいため、慎重に判断する必要があります。

年齢ごとに適切な栄養バランスを知り、愛猫の体調や好みに応じて柔軟に対応することが、長く健康に暮らす秘訣です。体重変化や食欲・便の状態を日々チェックし、必要に応じて専門家へ相談する習慣を持っておくことも忘れないでください。